前置胎盤とは?出産までの体験談を紹介します

妊娠15週から「前置胎盤の疑いあり」といわれ、そのまま「全前置胎盤」と診断されて出産に至りました。
経験者として、体験をまとめたいと思います。

前置胎盤とは?

様々な先生から説明いただいたことをぎゅっと要約すると、以下になります。
※説明していただいたことを書いています。きちんとした内容は先生へお尋ねください。

『赤ちゃんとママをつなぐ胎盤が、普通よりも低い位置についていて、産道近く~塞ぐ状態で胎盤がついている。
普通分娩では出産できないことが多く、帝王切開になる可能性が高い。
前置胎盤は段階によって、辺縁前置胎盤・部分前置胎盤・全前置胎盤と分かれる。

正産期(37w~)前に胎盤が剥がれて出血する可能性が高く、母子ともにリスクがある。
出血に痛みはなく、突然出血することが多い。
程度にもよるが、出血をしたら自宅安静・管理入院による安静が必要になる場合もある。』

診断確定まで

妊娠15週で下からのエコー検査を受けて「前置胎盤の可能性がある」と言われた時には、どんな状況かわからず頭が真っ白になりました。
自覚症状も全くありません。

調べてみると癒着胎盤・子宮摘出など怖い内容もあるものの、改善の可能性もあると書いてあり、最終的に前置胎盤になる人は少ないようなので、「治るだろう」と胡坐をかいていました。

妊娠26週目の検診時に胎盤の位置を確認し、今後胎盤の位置がずれたとしても改善しないと判明。
「全前置胎盤」の診断を受けて、出産時の万が一を考慮して、NICU(赤ちゃん用のICU)がある病院に移動することになりました。

全前置胎盤になって

新しい病院でも全前置胎盤と診断されて、帝王切開が確定しました。
以降は検診も、子どもの発育を確認するためだけではなく、身体の状態をきちんと捉え、帝王切開の手術への準備がメインに話が進んでいきました。

全前置胎盤で怖いのは、出産前の出血と出産時の出血です。

出産前はお腹が大きくになるにつれて、胎盤が剥がれて出血してしまう可能性が高くなるため、妊娠37週には出産=予定帝王切開する予定が組まれました。
「出血に気を付けること、出血したらすぐに連絡すること」を何度も念押しされました。
出血してしまうと、ママ側は出血多量の恐れがあり、子ども側は栄養源である血が来なくなり生存できなくなる可能性があるから、とのことでした。

また、出産時にも胎盤が癒着していたり、太い血管が絡み合っていたりすると、うまく胎盤が剥がれずに出血量が多くなる可能性がある、最悪の場合子宮摘出になる可能性もある、と説明を受けました。

通常の検診に加えて増えたものは3つ。
①MRI ②自己血貯血 ③麻酔科の先生の説明 でした。

MRI

MRIでは、胎盤の位置や胎盤が癒着していないかを確認します。
ただ、胎盤の位置や癒着を確定できるものではなく、実際には出産時に実物を見てみないとわからないとのことでした。

初めてのMRIだったので緊張しましたが、技師の方の案内に沿って問題なく終了しました。

自己血貯血

出産時に出血が多くなることが想定されました。
対策として、自己血貯血をすることになりました。

自己血貯血とは、自分の血をあらかじめ抜いておいて保管し、手術時に輸血が必要になったら自分の血を戻すものです。
自分自身の血なので、病気などのリスクなく輸血をすることができます。

貯血できるのは、身体の回復のために1週間に1回のみ。難しいのは、貯血をするタイミング。
血は生ものなので一か月しか保管ができませんが、いつ出血してしまうかわからない身なので、妊娠37週に出産をするとして、3週間前から1週間おきに400mlの貯血を取る予定が組まれました。

貯血自体はシンプル。当日に採血をして貧血ではないか確認後、小一時間かけて血を抜きます。
血を抜いている途中、子どもに影響がないか腹部エコー検査を定期的に行い、終わった後もNST検査がありました。

麻酔科の先生の説明

出産当日は麻酔が使用されるので、麻酔の方法や効果、リスクについて説明がありました。

帝王切開で通常使用するのは、胸から下だけに効く腰椎麻酔。
ただし、選択肢としては全身麻酔も選ぶことが可能だと説明してもらいました。

しかし、全身麻酔だとお腹の子どもも一緒に寝てしまうこと、ママには酸素の管が必要だということ、などリスクがあがること。
私の体の状態であれば、通常の腰椎麻酔で問題ない見込みであること。
不測の事態には全身麻酔に切り替える可能性があること。
子どもが取り出せて対面後には鎮静剤で眠くなるようにできることなど、状況に応じた使用の説明をしていただきました。

私は、腰椎麻酔で子どもを取り出し、子どもの顔を見た後は鎮静剤で眠くなるように予定していただきました。

私の体の状態と手術の説明

前置胎盤はお腹が張りやすい傾向にあるようで、私自身も妊娠27週から数m歩くだけでお腹がすぐに張ってしまい、その不安感からと出血を避けるために無理を避けていました。
会社からも理解してもらい、全日テレワークにさせてもらえたのはとても大きかったです。

妊娠34週には、家族も同席して手術についての説明がありました。
エコー検査・MRIから胎盤の癒着の可能性が低いことはわかったのですが、胎盤が付いている位置が前側(お腹側)についていることがわかりました。

赤ちゃんが出てくる前側。通常の帝王切開では、お腹を横に切開して赤ちゃんを取り出します。
しかしそれでは胎盤の位置に当たってしまうので、私の場合はお腹を縦に、おへそから下腹部まで切ることが決まりました。

また、胎盤が取れた後の止血方法についても説明いただきました。
止血法については、子宮にバルーンを入れて圧迫する方法・子宮を縛る方法・大きな血管から出血がある場合にカテーテルを入れて止血する方法、出血が止まらない場合子宮摘出と、手術の選択肢がたくさんあることを教えていただきました。
私の場合は、胎盤の癒着が想定されないので、一番かんたんなバルーンを入れる方法を想定する、と説明がありました。

自己血貯血も1200mlをとることができ、大量出血した場合に備えることができました。

結果

「後は予定帝王切開の日を迎えるだけ」という中で予定日の数日前に出血してしまい、緊急帝王切開にて子どもを無事出産しました。

癒着もなく胎盤もスムーズにとることができ、出血量も1200ml程度で自己血を戻して問題なく出産を終えました。
手術当日の夜、出血が思うように止まらず、自己血以外の輸血を受けたりもしましたが、大事なく回復していきました。

診断確定後のスケジュールについて

つらつらと書いてしまったので、私の転院後のスケジュールをまとめます。

週数内容
26w転院決定
28w転院先での検診
30w検診+MRI
33w検診+自己血貯血+MRIの結果説明
34w検診+自己血貯血+麻酔科の先生の説明
35w検診+自己血貯血
36w出血、出産
(37w予定帝王切開)

おわりに

昔なら死亡している、と先生から言われたのですが、緊急帝王切開だったにもかかわらずリスクのある手術に力を尽くしてくださった先生方には感謝しかありません。

前置胎盤になって何が起こるのかわからず不安しかありませんでしたが、長期入院をしないで出産を無事終えることができた一例をこうして残すことで見通しが少しでもつくと良いなと願います。
皆さんの妊娠生活が健康でありますように。

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